VOL.08 <パターンメイキング – まるで命が宿っているかのような『 立体的で流れるようなフォルム 』> 2017/07/13(木) コラム VOL.5 で開発した独自素材『concorde – コンコルド』をもとに、ストレスのない着心地と美しさを追求した立体的なシルエットを構築していきます。旧decolloのシャツのシルエットは、90年代初頭のイタリア製パイロットシャツをもとに、何度も改良を重ねてオリジナルに作り上げたものです。しかし、中国での大量生産という背景もあったことで、細かい調整が行き届かない点と、奥行きのない平面的なパターンになってしまう点が残念でした。。甘く編み込んだ素材を使用することで着心地を調整してバランスを保っていましたが、胸板や背中など身体に厚みのある方には、どうしても窮屈感が出てしまうのです。。今回、日本製にリニューアルするにあたって、旧decolloのマイナス点を改善して今まで以上に着心地の良いシャツになるように、ドレーピングで立体的なフォルムを再構築してアップグレードしていきます。そして、様々なシーンで着こなせるベーシックなシャツでありながらも、decollouomo 独自のスポルディーヴァでエレガントなフィットを印象つけるために、感覚的なスパイスを盛り込んでいきます。シャツの着心地に一番大きく影響するのは、可動量の多い根幹部位である首、肩、肩甲骨周辺の作り。これら部位の可動をいかに妨げず、快適と感じられるように設計するかが基本です。decollouomo のフォルムは、その基本をもとに、いかにリラックスしながらも格好良く見えるかという『 快適さと美しさ 』を徹底的に追求していきます。 シャツの顔であるオリジナルカラー シャツの顔である襟は、ホリゾンタルカラーをベースに、ON/OFF関係なく様々なシーンで着用できるようにスポルディーヴァで男らしいオリジナルカラーにデザインしています。その襟をいかに綺麗に見せるかに注力していきました。旧decolloのご愛用者様は21〜72歳と年齢層が非常に幅広く、様々な体型の方がいらっしゃいます。その皆様がタイドアップして着用する時も、ラフにボタンを外して着用する時も、快適で格好良く見える襟でなければいけません。そこでdecollouomoは、台襟を一般的なドレスシャツよりも前下がり(第一ボタンを留めた時の位置)を少し下げ、襟をポロシャツの襟のように丁寧に伸ばしながら縫い付けるよう設定しました。そうすることによって、首の太さが異なる誰もが快適に着用でき、襟が首に素直に沿うようになります。そして、ボタンを外してラフに着用する時に襟の返りが自然で美しくなるのです。 運動機能を兼ね揃えた肩周りの構築 decollouomo シャツの第二の特徴は肩周りの設計です。モデル着用写真のように、肩傾斜はナチュラルショルダー。肩幅はタイトに設定して、肩の可動をスムーズにしています。また肩線を垂直にすることで肩が立体的に綺麗に見えるので、男らしくスタイリッシュな印象を与えます。機能的な肩周りを構築するには、袖とアームホールの作りがとても重要です。腕を降ろした状態で立った時に余計なシワがない美しい袖であり、さらに、腕の上げ下げや前後の振りがスムーズな運動機能も兼ね揃えなくてはいけません。しかし、この『美しさと運動機能』は設計上真逆の考え方であり、両立させることはとても難しい問題です。その相反する条件を備えた上で、ベストなバランスに調整していきます。様々な調整を重ねた結果、decollouomo シャツの袖は、袖山(袖付け根の上部)を高めにし・カマ底(袖付け根の下部)を上げ、アームホールへの袖付を前側に振り・後側に回転させました。袖山を高くすることで、腕を降ろした状態の時に余計なシワが出ない美しい袖でありながらも、カマ底を上げて振りと回転をつけることによって、腕を前後・上下に動きやすくしています。その他にも随所に細かい調整を入れて作り上げていますが、美しさと運動機能のバランスをとっている基本となるポイントは上記の通りです。この肩周りと袖の作り、そして開発素材「concorde」の伸縮性が相俟って、ドライブや旅の時など、体を動かすことが多いシーンで評価されている理由につながっているのでしょう。 『より良い快適さ』へと導くボディー ビジネスシャツ、カジュアルシャツなど、インポートからドメスティックまで様々なブランドが存在します。どこのブランドも時代に合わせて現代的なフィットへと改良を繰り返していますが、私達は1つ疑問に思うことがありました。昔に比べて現代のシャツはタイトフィットになってきているものが多いのですが、そのフィットの幅や奥行き(厚み)を考慮していても、『姿勢』についてはあまり意識していないのではないか?ということです。もちろん、ターゲットとしている国・年齢層などによって体型が異なるので、何が正しいとは一概には言えませんが、猫背で前首(少し首が前に突き出している)の姿勢をモデルとして作られているシャツが多いように思えるのです。それは、ターゲットとするお客様の体型をその姿勢のまま包み込むためのものかもしれません。しかし、私達decollouomoは違う意味で『姿勢』というものを重要視しています。人それぞれ自分の体格や体型にコンプレックスを抱えているかと思います。身長の高い低い、身体が細い太い、頭が大きい、手や足が短いなど。。皆様はこれら生まれ持った体格や体型によって、服が似合わない。格好良く見えない。と考えていませんか?そうではないのです。コンプレックスはそれぞれの個性であって、決してマイナス要因ではありません。服が似合わない。格好良く見えない。と思われるのは、『姿勢』の問題です。『姿勢』が良いことは、服が似合うことにつながり、人が一番格好良く見えることなのです。繰り返しになりますが、decollouomo のシャツは、いかにリラックスしながらも格好良く見えるかという『 快適さと美しさ 』を追求しています。私達が提唱する『快適さ』とは、単純に着心地が良いというわけではありません。例えば、だらしない生活習慣によって崩れた姿勢や体型を包み込む『快適さ』だけではなく、正しい姿勢で初めて感じられる『より良い快適さ』を含んでいます。そして、その『より良い快適さ』が最終的に『美しさ(格好良さ)』につながってくるのです。decollouomo のシャツは、より良い快適さを追求するために、正しい姿勢へと意識がいくようなフィッティングになっています。着る人の姿勢をサポートし、『 より良い快適さと美しさ 』へと導く立体的なフォルムを作り上げています。まるで、堂々と胸を張っているような前姿と、凛と背筋を伸ばしているような格好良い後姿。動きの中で見せる引き締まったフィット感が質実剛健な男らしさを際立たせるように。そして、立ち姿から1つ1つの動きの中まで、すべてをエレガントに。正しい姿勢は意識することで整えることができます。それを日常的に繰り返していくことで、今まで楽だと思っていた崩れた姿勢より、正しい姿勢の方が疲れないで快適に過ごせることが実感できると思います。