【セーラーズフォーザシー・アンバサダー】プロセーラー伊藝徳雄 氏が啓発する環境保全問題
地球上でぐるぐる回っているゴミ問題。自分たちの住む世界を綺麗にしよう!
アンバサダーを務めさせて頂いているセーラーズフォーザシーでは、主にグリーンレガッタ(下記に説明が出てまいります)というタイトルで環境保全活動をしています。主にゴミの問題。セイラーの方たちに啓発して、自分たちのフィールドを守るとともに、自分たちが住む世界を未来の子供たちのために綺麗にしようという活動です。
リサイクルの観念でいうとプラスチックの問題があって、いよいよ精製した塩にまでマイクロプラスチックと言う形になり、自分たちの口に帰ってくるようになるということが現実的な話になっています。私たちはちゃんと分別して決められた通りにゴミを捨てていますが、それが実際に全て再生されている訳では無いと言う事実もあります。ゴミを再生するにもお金がかかることから、リサイクルされない多くは燃やされているのです。また国内で処理しきれない多くは中国の受け入れ業者へ。ゴミが輸出され地球上を行ったり来たりしているのが現状です。中国受け入れ業者は各国のゴミを受け入れることによって利益を得ていて、国土に埋めたり、様々な方法で処理してきました。しかし、中国政府は今年の春にゴミの輸入を禁止したのです。昔の日本と一緒ですが、高度経済成長で大気汚染や水質汚濁、自然破壊などの公害が激化して、その公害によって国民の健康被害が明らかになってきたからです。今、日本のゴミの受け入れ先がなくなってしまっていて、中国に代わる受け入れ先を探すために東南アジアの国々などと交渉しています。結局、地球の上でぐるぐるゴミが回っているだけで、どこかで捨てられているのです。
自分たちのゴミは責任を持って自分たちで処理しないといけない。
10年以上前から既に深刻な問題になっていましたが、いよいよ自分のことに置き換えて自分が判断して、ちゃんと考えていかなければいけない。私は、海で遊ばせて頂いて、仕事もさせて頂いていますが、日本の海でも海外の海でもレース中に浮遊しているプラスチックのゴミの量がこの5年間で本当に急増しているのです。大人に話せばわかることですが、何十年も同じスタイルで生活してきているから理解していても簡単にはスタイルは変えられないかもしれません。でも、自分たちの子供にだったら教育して変えられるし、これから生まれてくる子供たちには最初からプラスチックのゴミを出さない生活をさせて行くことは可能だと思います。ゴミを出さないライフスタイルをみんなで考え実行してゆかなければなりません。他人事では無く、すべて自分たちに帰ってくるという事。変わることで自分たちの住む世界が綺麗になるのだから、その方が「格好良い」と言うスタイルを生み出してゆければと思います。僕が啓発しても仮に100人しか聞いてくれない中で、テレビに出ている様な有名人が啓発したら、もしかしたら10,000人が理解してくれるかもしれない。そういう意味でも、自分のフィールドだけではなく外に向かって積極的に出ていって、少しでも多くの人に発信できるように啓発活動を続けていこうと思っています。
SAILORS FOR THE SEA
セイラーズフォーザシーは、2004年にデイビッド・ロックフェラーJr.によって設立された米国NPO団体で、マリンスポーツ愛好家の海洋自然保護に対する責任において、教育を通して地球環境を保全することを目的として活動しています。米国ロードアイランド州ニューポートに本部を置き、日本・ポルトガルに支局を構え、会員は3万人を数えます。http://sailorsforthesea.org/
セイラーズフォーザシー日本支局は、デイビッド・ロックフェラーJr.を名誉会長に、2011年に任意団体として発足し、2013年に一般財団法人として組織しました。海を愛する有志を中心に、海の恵みを享受するすべての人々と手を携えて、海洋環境の保護教育活動を通して次世代に健康な地球を受け渡す責務を全うするべく、学習の機会を提供するものです。http://sailorsforthesea.jp/
〜David Rockefeller,Jr.〜
デイビッド・ロックフェラーJr.は、米国ロックフェラー財団の第12代会長で、父、デイビッド・ロックフェラー氏の後継者としてロックフェラー一族の次期総師に選任されています。ハーバード大学および同大学の法科大学院を卒業後、米国を代表するフィランソロピストとして、環境保護、芸術振興、公教育、慈善活動をはじめ、多岐にわたる分野において優れた非営利活動を展開しています。また、ヨットマンとして40年以上のキャリアを持ち、海洋と人類との新たな共生関係を築く観点から、2004年に海洋環境の保全を目的としたNPO法人sailors for the seaを設立しました。
美しい地球を未来の子供たちに
Clean Regattas/クリーンレガッタ
クリーンレガッタとは、ヨットレースや海洋スポーツの競技会を開催する際に、その主催者が利用できるプログラムで、環境に配慮するためのチェック項目を提供しています。レベルはプラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズ・参加証の5種類があり、それぞれのレベルの基準を満たしたと判断されたレースには認定証が授与されます。セイラーズフォーザシーは第34回からアメリカスカップのクリーンレガッタ公式パートナーに認定され、このヨットレースのワールドカップもセイラーズフォーザシーの定めた環境保護基準を最高値のプラチナレベルで踏襲しています。クリーンレガッタへの登録は、世界規模の公式レースから数人の子供達の草レースまで、セイラーズフォーザシー日本支局のホームページから簡単に無料で行えます。日本における第1回クリーンレガッタは2013年2月3日葉山マリーナヨットクラブにて、デイビッド・ロックフェラーJr.名誉会長も参加して開催されました。また、葉山マリーナの例のように、「Full Season」として全公式レースをクリーンレガッタに登録することも可能です。
KELP/ケルプ・キッズプログラム
KELP(Kids Environmental Learning Program)は、海洋環境に焦点をあてた児童・幼児向け教材です。この教材でゲーム方式により、楽しみながら海洋や海の生態系についてきちんと理解できるようになります。KELPを通して小学校などで定期的な学習活動を行い、海や自然の大切さを学ぶ機会を提供します。地域に根差した継続的な海洋環境保護教育を目指しており、日本支局は2013年より横浜市とその姉妹都市サンディエゴの間で子ども達の国際交流活動を支援しています。プログラムは無料でホームページからダウンロードすることが可能です。
Ocean Watch Essays/オーシャンウォッチエッセイ
世界各国の研究機関から月一回提供される海洋環境保護に関する最新情報を盛り込んだ論文をホームページ上で無料で提供しています。日本語訳も数点ホームページ上で公開しています。海洋関係者のみならず、学校教育関係者の皆様にも是非ご活用いただきたい、教材としても優れた内容となっています。
Resilience Support/レジリエンスサポート 震災支援
東日本大震災後の東北の復興支援のために国内外で様々な活動を行っています。デイビッド・ロックフェラーJr.名誉会長自ら、米国財界を中心に継続的支援の呼びかけを行う、復興計画策定に向けて米国の防災計画の専門家から意見を聴取し被災地域に発信するなど、独自の支援活動を継続しています。
おいしく、たのしく、地球にやさしく
地球の3分の2を覆う海。
私達はその海から酸素や雨水、シーフードをはじめ、かけがえのない恵みを受けて生きています。しかし近年の地球温暖化やCO2による酸性雨、漁業の乱獲や公害などが原因で、この生命の源である海が危機に直面しています。国連は、このままの漁獲を続ければ2048年には魚類が完全に枯渇すると予測しています。過去50年間で太平洋クロマグロは96%以上減少しており、2014年までにニホンウナギやカラスフグとともに絶滅危惧種に指定されました。水産庁は日本沿岸の魚の50%は枯渇していると発表しました。私たちの食生活は脅かされています。セーラーズフォーザシーは、皆さんと共に美しい海・美しい地球を子供達に受け渡していけるよう、海洋環境保護教育活動の一環として”おいしく、たのしく、地球にやさしく”をモットーに、資源量が比較的豊富なシーフードのガイド、「ブルーシーフードガイド」を発表しています。
Blue Seafood/ブルーシーフード
ブルーシーフードとは、天然魚の資源量が比較的豊富な、おすすめの魚介類のことです。一般財団法人セイラーズフォーザシー日本支局が海洋環境保護教育を目的として認定しています。このプログラムは世界的に評価の高いモントレーベイ水族館のSeafoodWatchチームの支援のもと、水産庁発行の水産白書、国立研究開発法人・水産総合研究センターの科学的資源データ、モントレーベイ水族館発行のSeafood Watch、WWF、IUCNのデータを検証して作成しています。2015年セイラーズフォーザシーはSeafood Watchのオフィシャルパートナーに認定され、一層の協力体制を築いています。ブルーシーフードガイドの今後の課題は多く、漁法や安全性まで把握し、サステナビリティが消費の目安の常識になるには、社会の意識が高まることが必要です。現在、日本海域の魚介類の実は5割が資源が枯渇している状態なのです。気候変動などに加え、乱獲や混獲が及ぼす影響は深刻です。しかし魚類は、寿命が1年から大型魚でも20年です。産卵可能な成魚になるまでの期間が短いため、5〜6年しっかりと資源管理をして海に休んでもらえれば十分な子供を産んで、増えてくれることが分かっています。
枯渇した魚類を回復させるために、一般の消費者が簡単にできることがあります。豊富な資源量を維持している魚介類を優先的に消費することで、枯渇した魚介類の資源回復を待つ方法です。そこで、ブルーシーフードガイドを活用していただき、おすすめのブルーシーフード、海の恵みを楽しむことが、豊かな海を取り戻すことにつながります。
ブルーシーフードガイド
http://sailorsforthesea.jp/blueseafood
*このプログラムは、The David and Lucile Packard Foundation、Monterey Bay Aquarium/Seafood Watch、 The Scripps Research Institute、日本財団からサポートを受けています。